みなさんはカネミ油症事件というものを聞いたことがありますか?
日本最大級の食品公害事件と言われています。このカネミ油症事件の際にファスティング療法が採用され、大きな成果を上げた歴史があります。
今回はカネミ油症事件からファスティングのデトックス効果を考えてみます。
カネミ油症事件とは
長崎、福岡両県を中心に西日本一帯で起きた大規模な食品公害。
1968年10月、最初の患者が確認された。
カネミ倉庫(北九州市)が製造した米ぬか油で調理した料理を食べた人に皮膚障害、頭痛、手足のしびれなどの症状が出た。
発症した女性から皮膚に色素が沈着した「黒い赤ちゃん」が生まれた事例も。
製造過程で混入したポリ塩化ビフェニール(PCB)が原因とされたが、後にPCBの加熱によってできるダイオキシン類、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)が主因と判明。
日本最大級の食品公害事件と言われるカネミ油症事件は日本における暗い歴史の1つです。
食品にダイオキシンが入り込み、それを食べた多くの人に様々な症状が現れました。さらにPCBは胎盤を通じて被害者の赤ちゃんにまで影響が出た最悪の事件だったそうです。
被害者は日本全国で1万4,000人に上ると言われています。
ファスティング療法によるデトックスが行われた
このカネミ油症事件の被害者の方々には様々な治療がされたそうですが、その中にファスティング療法が取り入れられていたそうです。
多くの治療が効果を出せない中、今村基雄博士が指揮を取り行った断食療法で神経障害は95.6%が改善、皮膚障害は83.0%が改善したとされています。
また皮膚障害の場合は1回の断食よりも2回3回と繰り返すことで改善が見られたそうです。
当時の新聞の見出しでは「PCB中毒 断食療法で対外へ ほぼ9割に効果」と大々的に報じられました。
ファスティングのデトックス効果
ほとんどの治療法で効果が出なかった中で、なぜこれだけの高い効果を得られたのか。今村基雄博士はこのように説明しています。
絶食すればPCBは血流中に出てくるので、その濃度を測定するのだが、[患者を測定した結果]予想どおり絶食前に比して、絶食中と復食七日目には著しく血中濃度が高くなっている。」
出典:ー飽食の時代を考えるー 「断食」の思想と科学
僕も以前デトックス効果について記事をまとめていますが、まさに同じ理屈を説いています。
いっしー 石川 威弘(いしかわ たけひろ) パーソナル栄養士/エキスパートファスティングマイスター パーソナル栄養士とは 述べ1,000名以上のファスティング指導、食事指導、体質改善相談をしてきました。 […]
PCBを始め有害物質は脂溶性で脂肪に蓄えられることが多く、ファスティングによって糖新生を起こし脂肪を燃焼することでデトックスが行われたと考えられます。
ファスティングでPCBを体外に出すことができ、神経障害や皮膚障害の改善が見られ、ファスティング療法は一時期注目を集めることができました。
しかし、当時は断食というと宗教的なイメージも強く、社会に定着すること無く、再び影に隠れてしまったようです。
いっしー 石川 威弘(いしかわ たけひろ) パーソナル栄養士/エキスパートファスティングマイスター パーソナル栄養士とは 述べ1,000名以上のファスティング指導、食事指導、体質改善相談をしてきました。 […]
いっしー こんにちは。パーソナル栄養士のいっしーです。 ここ最近デトックスという言葉をよく耳にすることが増えてきました。 デトックスとは解毒のことをいいますが、何か特別なことをしないとデトックスは起こらないのでしょうか。 […]
最悪の歴史からファスティングの効果が注目される結果となった事例です。
当時はまだまだファスティングが科学的に効果を証明できず、今村基雄博士は「油症患者をモルモット視する吸血鬼」と誹諺されたそうです。
良いものは時として科学的に証明される前に事例として出てくるケースはいくつもあります。
ファスティングの効果もより科学的に証明されるといいなと切に願うばかりです。