ファスティングはなぜ体に良いのか?ファスティングによる飢餓状態で起こるオートファジーの活性化と体への影響とは


いっしー

石川 威弘(いしかわ たけひろ)
パーソナル栄養士/エキスパートファスティングマイスター
パーソナル栄養士とは


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いっしー
こんにちは。
パーソナル栄養士・ファスティングマイスターのいっしーです。
皆さんはファスティングが体に良いという話を聞いたことがありますか?
実はファスティングには痩せるという効果以外にも、すごく体に良い効果があります。
それは「オートファジーを活性化する」という効果です。
今回はオートファジーの効果となぜファスティングでオートファジーが活性化するのかについて解説します。

ファスティングのメカニズム

最近はファスティングが話題となることが増えてきたので、ご存知の方も多いでしょう。
ファスティングとは断食のことを指し、酵素ドリンクやプロテインを飲みながら固形物を食べずに過ごすダイエット法として知られています。

ファスティングをすることで脂肪燃焼を起こしたり、体から老廃物を排出するデトックスを起こすことができるため、ダイエットをしたい人や体質改善を行いたい人から注目されています。

なぜ脂肪燃焼やデトックスが可能なのかというと、体を一時的に飢餓状態にすることが大きなポイントです。
この飢餓状態がオートファジーにも非常に重要です。この理由に関しては記事の中盤でご説明します。

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オートファジーとは

オートファジーについても少し説明をしておきます。

オートファジーは2016年に東京工業大学の大隅良典氏がオートファジーの研究においてノーベル生理学・医学賞を受賞したことで話題となりました。

このオートファジーとは細胞の自食作用とも呼ばれており、細胞内の老廃物や不要物質を分解することで、新しい細胞を作るために必要なアミノ酸を生成する細胞の新陳代謝のことを言います。

人間の体は老廃物やダメージを受けた細胞内部の物質を分解し、再利用可能な物質に変換する能力を持っています。
このオートファジーが正常に行われることで、細胞内の機能が正常に維持され、細胞老化や疾患の予防にもつながっています。

なぜオートファジーが体に良いのか

オートファジーは、体内にある古くなった細胞や細胞内部にある損傷したタンパク質を分解することによって、新しい細胞を作るために必要なアミノ酸を生成する働きです。
オートファジーが進むことで、細胞の新陳代謝が促進され、若々しい細胞を作り出すことができます。

つまりオートファジーが働くことで古い細胞をリサイクルし、新しい細胞にリノベーションをしてくれるわけです。

また、オートファジーは、老化の原因となる糖化や酸化ストレスを減少させることができます。
これは、オートファジーが老廃物やダメージを受けた物質を分解して、細胞内の機能を正常に保つことができるためです。
その結果、細胞内の代謝が正常に行われることで、老化を防止することができます。

加えて、オートファジーは細胞内のミトコンドリアの機能を改善し、疾患の予防にもつながるとされています。

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ファスティングによってオートファジーは活性化する

そして一番のポイントはファスティングをすることでこのオートファジーが活性化されるという点です。

ファスティングは、断食を行うことで体内の栄養素を制限し、飢餓状態を作り出します。
飢餓状態になると、体内のエネルギー源である糖質(グルコース)が不足するため、代わりにタンパク質や脂肪の分解が行われます。

タンパク質の分解が始まると体内ではタンパク質の素であるアミノ酸が不足してしまいますので、それを補うようにオートファジーを活性化させ、古くなった細胞からアミノ酸を生成するようになっているのです。

またタンパク質の分解と共に脂肪の燃焼が行われるとケトン体が産生されます。
ケトン体は、脂質の代謝産物であり、エネルギー源として利用されますが、同時にオートファジーを促進する作用があります。

特に、断食状態が長く続くほど、オートファジーが活性化することが報告されています。 ファスティング中は、通常の食事を摂取している状態と比較して、基礎的なオートファジーが何倍にも活性化するという研究結果が報告されているのです。

具体的には、24時間の断食でオートファジーが1.5倍程度、48時間の断食でオートファジーが3倍程度、72時間以上の断食でオートファジーが10倍以上にも活性化されると言われています。

ファスティングはオートファジーを促進させる方法としては非常に優れており、体を細胞から若返らせることができるのです。

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ファスティングによる飢餓状態は体の不調をリセットする

ファスティングは、飢餓状態で行われる糖新生によって脂肪燃焼が行われるため、ダイエットに効果的であると注目を集めていますが、このオートファジーが活性化することで多くの健康効果を得られる方法でもあります。

体の中で動きの悪くなった不良細胞がリサイクルされて新しい細胞が作られるため、代謝能力がアップし、新陳代謝が上がっていきます。 結果的に肌が綺麗になったり、活力が湧いてくるようになります。

また、ミトコンドリアの働きも改善するため、糖質の代謝や脂質の代謝もスムーズとなり、食べても太りにくい体となっていきます。

食事を数時間から数日間取らないため、胃腸が休まり、体内の炎症が緩和し、腸内環境の改善も見られ、便秘改善や胃腸の不快感を緩和することも可能です。

血糖値や血圧、コレステロール値の改善や、睡眠の改善が起こる人も多くいます。デトックス効果も非常に高いため、アレルギーやアトピーの改善にもつながっていきます。

ファスティングはリセット効果があるとも言われますが、まさに体の中の細胞をリセットし、体全体の不調をリセットする効果があるのでしょう。

ただし、3日間以上の長期間のファスティングは、栄養不足を引き起こす可能性があるため、体調の優れない方や持病を抱えている方、薬を飲まれている方などは、必ず医師や栄養士の指導のもとで行うことが重要です。
またオートファジーは、個人差があり、効果を感じにくい場合もあります。

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なぜ飢餓状態になるとオートファジーが活性化するのか

これほど様々な効果があると、少し懐疑的に感じる人もいるかもしれませんが、肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病やがん、アレルギー、アルツハイマー病に至るまで、多くの原因は食べ過ぎ(食べる量が多い・添加物などの化学物質の摂りすぎ)による不調から始まります。
食べ過ぎによる不調は食べないことで多くを改善できるようになっているのです。

なぜ人間の体が飢餓状態になることで、オートファジーが活性化し、体が健康になっていくのか。
それは人間の長い歴史と食糧のことを考えるとつじつまが合います。

人間は数千年から数万年間、飢餓との戦いをしてきました。飢餓による耐性を人間の進化の過程で身につけてきたのでしょう。
飽食の時代と言われてからたったの数十年です。ずっと飢餓に対応してきた体が急に食べ過ぎという問題に直面すれば、当然体が対応しきれないことがたくさん起こるのは当然かもしれません。

オートファジーを促進する方法

オートファジーはファスティング中に活性化しますが、日常的にも行われています。
最後にファスティング以外で日常的に意識するとオートファジーが高まる方法をいくつか紹介します。

運動習慣

有酸素運動や筋力トレーニングなどを行うことでオートファジーが促進されることが知られています。
私たち人間も動物です。運動をすることで体を健康に保てるのは当然のことなのかもしれません。

睡眠

適切な睡眠時間と質の高い睡眠をとることで、オートファジーが促進されます。 最近は睡眠で悩む人も増えているように感じますが、一度睡眠の質に関してもしっかりと見直してみましょう。

ストレスの軽減

ストレスを感じている人は、リラックスするための方法を見つけることが重要です。ストレスを感じると、オートファジーの働きが妨げられます。
息抜きやストレス発散方法を食べること以外で見つけておきましょう。

減量

適正な体重に維持することで、オートファジーが促進されます。
太り過ぎは全てにおいてよくないということですね。
これはファスティングをすることでいっぺんに解消するのが良いかもしれません。

ヘルシーな食生活

オートファジーを促進するためには、バランスの良い食生活が必要です。特に、タンパク質や脂質の過剰摂取は、オートファジーを妨げることが知られています。また、食物の摂取量が多すぎると、オートファジーが起こりにくくなるとされています。

まとめ

  • ファスティングは一時的に体を飢餓状態にすることでオートファジーを活性化させることができる。
  • オートファジーによって細胞内の老廃物や不要物質を分解し、アミノ酸に作り替えることで新しい細胞を作ることができる。
  • オートファジーによって体がリセットされて、様々な不調が改善する。
  • ファスティング以外にも日常生活を意識して過ごすことでオートファジーは活性化する。
  • 3日間以上の長期のファスティングは効果が高いが、同時にリスクも伴うので医師や栄養士の指導の下に行う。
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いっしー
いかがでしたか?
ファスティングをすることでオートファジーを活性化させ、様々な健康効果を得ることができます。 ファスティングはまさに体の内側から若返る究極の健康法とも言えるでしょう。
飽食の時代において、ファスティング体験は体にも心にも良い体験だと思います。
ぜひ一度ファスティングに挑戦して、オートファジーによる体の変化を体感してみてくださいね。

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